ブラックを基調とした特別仕様車と聞くと、精悍さや力強さを前面に押し出したデザインを想像するかもしれない。
しかし、今回実車を確認した三菱アウトランダーPHEV BLACK Editionから受けた印象は、少し違うものだった。
その佇まいは、実にシックで上品。
ブラックで統一された加飾は、決して過剰な存在感を主張しない。むしろ、アウトランダーが本来持つ個性的なデザインを、さらに際立たせている。
そしてドアを開けば、丁寧に仕立てられた室内空間が広がっていた。
華美な装飾に頼らず、素材や質感で満足させる。
今回は、実際に撮影した写真を通して、BLACK Editionに込められた美意識と、その魅力を紐解いていく。

アウトランダーPHEV BLACK Editionとは?
BLACK Editionは、アウトランダーPHEVの最上級グレード「P Executive Package」をベースに、ブラックを基調とした専用加飾を施した特別仕様車だ。
フロントグリルやダイナミックシールド、アルミホイールなど、エクステリアの随所にブラックを採用。
インテリアには、シルバーステッチを組み合わせたブラックセミアニリンレザーシートを備えている。
メーカー希望小売価格は次の通り。
- 5人乗り・4WD:6,810,100円
- 7人乗り・4WD:6,901,400円
いずれも消費税込みの車両本体価格で、諸費用や有料ボディカラー代などは別途必要となる。
アウトランダーPHEVの基本的な内外装や装備については、通常モデルの実車レビューでも詳しく紹介している。BLACK Editionとの違いを確認したい方は、ぜひあわせてご覧いただきたい。

フロントマスク|ブラックが引き立てる独創的なデザイン
アウトランダーのフロントを象徴するのが、三菱自動車独自のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」だ。
ひと目でアウトランダーと分かる独創的な造形は、もともと十分な存在感を備えている。
BLACK Editionでは、ダイナミックシールドやヘッドライトベゼルなどにグロスブラックを採用。さらに、フロントグリルの一部にはマットブラックを組み合わせることで、異なる質感が表情に奥行きを与えている。

実車を前にして印象的だったのは、ブラックの使い方の巧みさだ。単に黒く塗り固めるのではなく、異なる質感を組み合わせることで、アウトランダーが本来持つ立体的な造形を際立たせている。光の当たり方によって表情を変えるフロントマスクには、写真だけでは伝わりきらない魅力があった。
力強さを誇示するのではなく、細部の仕立てによって個性を生み出す。
サイドビュー|20インチブラックホイールが生む統一感
サイドに回ると、BLACK Editionならではのカラーコーディネートが一層際立つ。アウトランダーらしい堂々としたボディラインに、ブラックで統一された加飾が自然に溶け込んでいる。

全長4,720mm、全幅1,860mmという堂々としたボディサイズでありながら、サイドビューにはどこか引き締まった印象がある。その理由のひとつが、グロスブラック仕上げの20インチアルミホイールだ。ボディとの一体感を生み出しながら、足元にさりげない存在感を与えている。

さらに、ブラックのドアミラーやウインドウモール、ルーフレールなど、細部に至るまでカラーコーディネートが徹底されている。それぞれの加飾が単独で主張するのではなく、車全体のデザインに統一感をもたらしているのが印象的だ。
こうした細部の積み重ねこそ、BLACK Editionの完成度を高めているのだろう。

リアビュー|控えめな演出に宿る特別感
リアビューにも、BLACK Editionならではのこだわりが感じられる。水平基調のテールランプと、ワイド感を強調するボディライン。アウトランダーが本来持つ端正な後ろ姿に、ブラックの加飾が自然に溶け込んでいる。
フロントとはまた違った、落ち着きのある表情が印象的だ。

実車を後方から眺めると、ボディの幅を活かした安定感のあるデザインがよく分かる。特に印象的なのは、ブラックのアクセントが車全体の造形を邪魔していないことだ。特別仕様車だからといって、必要以上に存在感を強調するわけではない。むしろ、細部を引き締めることで、アウトランダー本来のデザインをより鮮明に見せている。

リアに配されたOUTLANDERのエンブレムも、BLACK Editionの世界観を構成するディテールのひとつ。こうした細部へのこだわりが、車全体の統一感につながっている。
BLACK Editionは、迫力よりも品格で選びたいSUVだ。
インテリアレビュー|触れることで伝わる素材の良さ
エクステリアの完成度も印象的だったが、今回さらに心を動かされたのはインテリアだった。ドアを開けると、ブラックを基調とした落ち着いた空間が広がっている。
水平基調のインストルメントパネル、すっきりと整理された操作系、そして室内の随所に使われた上質な素材。外観とはまた違う、丁寧な仕立てが感じられる。
華やかな装飾に頼るのではなく、素材そのものの良さで魅せる室内空間だ。

写真からも分かるように、室内にはブラックを基調とした落ち着いた雰囲気が漂っている。とりわけ印象的なのが、助手席側のドアトリムだ。ステッチや素材の切り替え、水平に伸びる加飾など、細かな仕立てにも目が向く。

こうした日常的に目に触れる部分まで丁寧に仕上げられていることが、室内全体の質感を高めている。
セミアニリンレザーシート|印象に残る手触りの良さ
BLACK Editionのインテリアで、特に印象に残ったのがセミアニリンレザーシートだ。ブラックを基調としたシートには、繊細なシルバーステッチが施されている。一見すると控えめな組み合わせだが、実車を前にすると、その丁寧な仕立てがよく分かる。セミアニリンレザーは、革本来の風合いを活かしながら、表面に薄い仕上げを施した素材だ。
実際に触れてみると、しっとりとした手触りが印象に残った。


車の高級感は、華やかな装飾だけで決まるものではない。ステアリングやシートなど、日常的に身体が触れる部分の質感も、所有する満足感を大きく左右する。長く付き合う車だからこそ、こうした小さな満足感を大切にしたい。なお、シートの一部には合成皮革も使用されている。
コックピット|先進性と居心地の良さを両立
運転席に目を向けると、水平基調のインストルメントパネルを中心に、すっきりと整理されたコックピットが広がっている。中央に配置された大型ディスプレイとデジタルメーターが、現代的な運転環境を演出する。
一方で、空調操作には物理スイッチやダイヤルが残されており、先進性と日常的な使いやすさを両立させようとする設計思想がうかがえる。ディスプレイの大きさだけで先進性を競うのではなく、操作する人のことも考えられた空間という印象だ。

視線を移すと、ステアリングの奥にはデジタルメーターが収まり、センターコンソールにはコンパクトなシフトセレクターが配置されている。各操作系の配置にも、機能性を重視した設計が感じられる。華やかさだけを追い求めず、日々の運転に必要な機能を整理しているところが好ましい。

※展示車を停車状態で撮影

センターコンソールには、コンパクトなシフトセレクターと走行モードを切り替えるダイヤルが配置されている。印象的なのは、こうした操作系が無理なく整理されていることだ。先進的な装備を備えながらも、必要な機能を分かりやすく配置する。華やかさを追い求めるのではなく、日常の使いやすさを大切にした設計思想が感じられた。

実際の操作感や走行中の視認性については、試乗で確かめたいところだ。しかし、展示車を確認した限りでは、先進的な装備と日常の使いやすさが、無理なく調和したコックピットという印象を受けた。
後席の居住性と使い勝手
アウトランダーPHEVの魅力は、運転席だけにとどまらない。後席にもブラックを基調としたインテリアデザインが採用され、前席から続く統一感のある空間が広がっている。後席シートにも丁寧なステッチが施され、落ち着いた雰囲気に仕上げられている。運転する人だけでなく、同乗する人にも心地よい時間を過ごしてもらいたい。そんなクルマづくりへのこだわりが感じられる。

後席の快適性を支える装備にも注目したい。センターコンソールの背面には、後席用のエアコン吹き出し口に加え、独立して温度を調整できる操作パネルやシートヒーターのスイッチも備わっている。同乗者が自分に合った快適な環境を整えられる点も、上級SUVらしい配慮だ。

車内で過ごす時間の質は、運転席だけで決まるものではない。同乗者が心地よく過ごせることも、長く付き合う車を選ぶうえで大切な要素だ。アウトランダーPHEVは、そうした視点からも魅力を感じさせる一台である。
ラゲッジスペース|日常から休日まで広がる使い方
アウトランダーPHEVには5人乗りと7人乗りが用意されている。今回撮影した展示車は7人乗り仕様。3列目シートを格納した状態では、フラットに近い荷室空間が広がっている。

日常の買い物から旅行やアウトドアまで。乗車人数や用途に合わせて室内空間を使い分けられることは、7人乗りSUVならではの魅力だ。家族や仲間との外出はもちろん、一人で荷物を積み込み、少し遠くまで出かける。
車があることで、休日の選択肢が広がっていく。
そんな自由な使い方も、SUVを所有する楽しさのひとつだろう。
Dynamic Sound Yamaha Ultimate|音楽を楽しむための贅沢な空間
アウトランダーPHEV BLACK Editionには、三菱自動車とヤマハが共同開発したプレミアムオーディオ「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」が標準装備されている。12個の専用スピーカーとデュアルアンプを備え、楽器やボーカルの定位、音の広がりにまでこだわったシステムだ。
ヤマハのフラッグシップスピーカー「NS-5000」の設計思想を取り入れている点も興味深い。
音楽を単なる移動中のBGMではなく、車内で過ごす時間を豊かにするものとして考えていることが伝わってくる。

車内で過ごす時間の魅力は、運転する楽しさだけではない。お気に入りの音楽を流しながら、何気ない景色の中を走る。そんな時間もまた、車を所有する喜びのひとつだと思う。
休日の朝、行き先を決めずに走り出す。心地よい音楽があれば、いつもの道さえ少し違って見えるかもしれない。
今回、音質をじっくり聴き比べる機会はなかったため、実際の音についての評価は控えたい。それでも、音楽を楽しむ空間としてここまでこだわった一台には、心を惹かれるものがある。
目的地だけでなく、そこへ向かう時間も楽しみたい。
そんな大人のカーライフに似合う装備だと感じた。
PHEVの走行性能|上質な移動時間を支える技術

アウトランダーPHEVの魅力は、内外装の質感だけではない。三菱自動車が長年磨き上げてきた電動化技術と四輪駆動技術も、この車を語るうえで欠かせない要素だ。
BLACK Editionも、その優れた基本性能を受け継いでいる。
ツインモーター4WDとS-AWC
アウトランダーPHEVには、前後それぞれに独立した駆動用モーターを備えるツインモーター4WDが採用されている。さらに、三菱自動車独自の車両運動統合制御システム「S-AWC」が、駆動力や制動力を統合的に制御する。
電動モーターならではの応答性と、四輪駆動による安定した走り。こうした技術は、日常の街乗りから長距離ドライブまで、幅広い場面でその真価を発揮することが期待される。実際にどのような走行感覚をもたらすのか。ぜひ試乗で確かめてみたいところだ。
EV走行換算距離は102km
BLACK EditionのEV走行換算距離は、WLTCモードで102km。ハイブリッド燃料消費率は17.2km/Lと公表されている。自宅などに充電環境があれば、日常の移動ではEV走行を積極的に活用できるだろう。一方、長距離ドライブではエンジンも利用できる。
電気自動車のような走行と、ガソリンエンジンを備える安心感。その両方を組み合わせられることが、PHEVならではの魅力だ。もちろん、実際のEV走行距離や燃費は、気温や空調の使用状況、走行条件などによって変わってくる。今回は内外装を中心とした実車取材のため、加速性能や乗り心地についての評価は控えたい。
それでも、この上質な室内空間と電動化技術の組み合わせには、実際に走らせてみたいと思わせる魅力がある。
BLACK Editionは11万円の価格差に見合うのか?
BLACK Editionは、最上級グレード「P Executive Package」をベースとした特別仕様車だ。2026年6月改良モデルの車両本体価格は、5人乗りが681万100円、7人乗りが690万1,400円。ベースグレードとの価格差は、いずれも11万円となっている。
この11万円をどう考えるか。
BLACK Editionでは、20インチアルミホイールをはじめ、ダイナミックシールドやドアミラー、ルーフレールなど、内外装の随所にブラックのアクセントが施されている。単に装備を追加するのではなく、車全体の印象を一つの方向性にまとめ上げた特別仕様車と言えるだろう。
実車を確認して感じたのは、それぞれの加飾が単独で主張するのではなく、全体として調和していることだった。もちろん、ブラックのデザインを好まない人にとっては、11万円を追加する理由は少ないかもしれない。
一方、このカラーコーディネートに魅力を感じる人にとっては、十分に検討する価値のある価格差だと思う。
11万円で何が増えるかではなく、11万円でどれだけ自分の好みに近づけるか。
BLACK Editionの価値は、そこにあるのではないだろうか。
展示車の価格は約705万円|乗り出し価格とは異なる
今回撮影した展示車は、ブラックダイヤモンドの7人乗り仕様。車両本体価格690万1,400円に、有料ボディカラー7万7,000円、ディーラーオプション6万8,750円を加えた展示価格は704万7,150円だった。
登録諸費用などを含まない金額ではあるものの、実際に購入する際の予算を考えるうえで参考になるだろう。
リセールバリュー|所有する満足感と経済合理性
アウトランダーPHEV BLACK Editionを購入するうえで、気になるのがリセールバリューだ。
車両本体価格が約700万円に達するモデルだけに、数年後の売却価格は決して無視できない。
一般に、中古車の価格は需要と供給、年式、走行距離、車両状態など、さまざまな要因によって左右される。PHEVの場合には、駆動用バッテリーの状態や中古車市場での需要も考慮する必要があるだろう。
また、BLACK Editionという特別仕様車の価値が、将来の買取価格にどこまで反映されるかは未知数だ。少なくとも、ベースグレードとの11万円の価格差を、売却時にそのまま回収できると考えるべきではない。購入に際しては、リセールバリューを過度に楽観視せず、一定の値下がりを見込んだ資金計画を立てておきたい。
一方で、車の価値を売却価格だけで判断することにも違和感がある。気に入ったデザインに囲まれ、好きな音楽を聴きながら、日々の移動や休日のドライブを楽しむ。そうした時間から得られる満足感もまた、車を所有する価値のひとつだからだ。
経済合理性を冷静に考えたうえで、それでも自分が好きだと思える一台を選ぶ。
アウトランダーPHEV BLACK Editionは、そんな車選びを考えさせてくれる一台である。
補助金を利用する場合は、売却時期にも注意したい
アウトランダーPHEVは、2026年4月1日以降の新車登録で国のCEV補助金84万円の対象となっている。購入時の負担を軽減できる制度だが、補助金を受けた車両には原則4年間の保有義務がある。
期間内に売却する場合には、所定の手続きと補助金の返納が必要となるため、数年での乗り換えを考えている人は注意したい。購入価格だけでなく、補助金の条件や将来の売却時期まで含めて検討することが大切だ。
※保有義務期間内に売却する場合、補助金の返納が必要となることがある。返納額は保有期間や処分方法などによって異なるため、売却前に必ず所定の手続きと返納条件を確認したい。
制度は変更される場合があるため、購入時には 次世代自動車振興センターの公式情報 を確認したい。
まとめ|大人が選びたい、品格のあるPHEV
今回、アウトランダーPHEV BLACK Editionの実車をじっくりと見て、改めて感じたことがある。それは、車の魅力はスペックや装備の数だけでは語れないということだ。
ブラックの加飾によって引き締められたエクステリア。手触りの良いセミアニリンレザーと、丁寧に仕立てられたインテリア。そして、ヤマハと共同開発したプレミアムオーディオ。その一つひとつに、所有する時間を豊かにしようとするこだわりが感じられた。もちろん、価格やリセールバリューなど、購入前に冷静に考えておきたい点もある。それでも、車を選ぶ楽しさは、数字だけで決まるものではない。
気に入った一台と出会い、その車とともに時間を重ねていく。
そんな何気ない日常にこそ、車を所有する喜びがあるのかもしれない。
アウトランダーPHEV BLACK Editionは、長く付き合う一台を、自分の感性で選びたい人にこそ見てほしいSUVだ。
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